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『ウルトラQ』誕生前夜!『WOO』とオプチカル・プリンターと

 
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日本初の本格特撮ドラマ『ウルトラQ』。その誕生前夜に何があったのかは特撮ファンしか知りません。今回はそんな『ウルトラQ』の制作前に起こった「オプチカル・プリンター」の逸話に迫ってみたいと思います。

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円谷英二と子どもたち

1960年代、ゴジラで知られた円谷英二「円谷特技プロダクション」を設立します。

これは読んで字のごとく特技(この場合の特技とは映像撮影の特殊技術、つまり特撮のこと)を売りとしたプロダクションで、同時に特技研究も行うプロダクションでした。

円谷英二は当時の映画人としては珍しく、子どもたちをテレビ局に就職させていました。新興事業であるテレビは海の物とも山の物ともつかないとして、特に映像の先輩格に当たる映画界からは脱兎のごとく嫌われていたのです。

そんな子どもたちの一人、フジテレビに就職していた円谷皐(つぶらや のぼる)が円谷特技プロダクションに1件の仕事を持ち込みます。その番組のタイトルは『WOO』

ウルトラQ』の前に『WOO』あり

『WOO』は不定形の宇宙人・WOOを主役とした企画でした。地球を離れられなくなったWOOが人類に力を貸し、怪獣たちと大立ち回りを繰り広げるという、後の『ウルトラマン』のような企画です。

この類似性からか、一部の資料で『WOO』を「『ウルトラマン』の没企画」と紹介しているものもあるようですが、これは間違いです。あくまでもアイデアが後になって転用されたにとどまっています。「『ウルトラマン』の源流」という意味でなら間違ってはいませんが……。

ともかく、そんなエポックメイキングな作品になり得た『WOO』はフジテレビの都合により制作がキャンセルされてしまいます。これにほとほと困り果ててしまった円谷英二

なぜなら、円谷英二は『WOO』に投入するための空前絶後の秘密兵器を海外に発注してしまっていたのです。

時価4000万円の秘密兵器「オプチカル・プリンター1200シリーズ」

その秘密兵器とは、オックスベリー社の「オプチカル・プリンター1200シリーズ」です。

オプチカル・プリンターとは、主に光学合成に使用する機材のことです。

光学合成とは複数のフィルムやフィルムと合成用素材を掛け合わせる特撮技法の一つで、これを使えばフェードイン・フェードアウトから人が巨大怪獣に向けて光線銃をぶっ放すシーンまで合成可能という映像制作に欠かせない機材でした。

また、無地のフィルムに完成品を掛け合わせる事でフィルムの複製が可能なため、フィルムの焼き増しなどにも使用されていました。

1200シリーズは世界初の4ヘッド合成機として生み出された、円谷英二が購入した時点では世界に2つしか無い最新の代物でした。

ヘッドが多ければ同時に掛け合わせられるフィルムの数が多くなり、複雑な合成をこなせる強力な一品となります。

つまり、1200シリーズは世界で一番高度な合成ができる機械だったわけです。

オックスベリー社はゴジラで有名な世界のツブラヤが直々に購入したのだからとこれを速攻納品しました。

元々は米国国防省に納品される予定だったと言うからツブラヤの威光たるや凄まじいものがあったとわかりますが、問題は購入資金です。

1200シリーズはTBSへ

当初、円谷英二は手付金の500万円を『WOO』の制作費で賄おうとしていました。当然、キャンセルとなれば制作費など入りようがありません

キャンセルを連絡するもすでに1200シリーズは納品のために船便で輸送中止める手立てがないと来ました。

円谷英二は、最終的に息子の一人、円谷一を頼ることとなります。円谷一TBSの社員であり、新進気鋭の演出家として名を馳せていました。

一の持ち帰った案件を社内検討したTBSは、自社で1200シリーズを購入し、円谷特技プロダクションに優先的な使用権を与えることとします。

この時、円谷プロとTBSの間では特撮ドラマの制作企画が持ち上がっていました。代理購入と優先権の付与は、この企画を前提として成立したものだったようです。企画名は『UNBALANCE』。後に大ヒットを飛ばす、『ウルトラQ』の初期名称です。

その後の1200シリーズ

こうして『ウルトラQ』誕生へと繋がった「オプチカル・プリンター1200シリーズ」。さて、無事『ウルトラQ』が成功して以降はどうなったのでしょうか?

「1200シリーズ」は先述のように購入を肩代わりしたTBSが所有していました。より正確に言えば、その子会社に当たる番組制作会社「TBS映画社」に所有権が与えられました

円谷特技プロダクション(『ウルトラQ』製作中に円谷プロに改称)は優先権を持ってこそいたものの、あくまで使わせてもらっているという立場です。

「TBS映画社」はオプチカルプリンターを各社に貸し出しました。CMや各映画社の作品、そしてテレビ番組の制作にも多用され、最盛期には月6000万を稼ぎ出したと言われています。

結果的に、TBSは「1200シリーズ」購入の肩代わりで莫大な利益を得たのです。もちろん、ウルトラシリーズでも獅子奮迅の活躍を見せ、1980年の『ウルトラマン80』まで連綿と使用されました。

まさに縁の下の力持ちとして映像業界を支え続けた1200シリーズでしたが、90年代に入るとCGの台頭により使用の機会が減り、静かに引退を迎えたとのことです。

また、没となった『WOO』21世紀に入りついに制作が実現します。当初のアイデアを最大限に活かした巨大特撮モノとして制作され、知る人ぞ知る名作として語り継がれています。こちらも機会があればぜひチェックしてみてください。

参考文献:『ウルトラQ伝説』ヤマダ・マサミ著 アスペクト刊

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